アパレルブランド立ち上げからの営業

今から15年ほど前、ECサイトはもちろん、スマホも普及していない時代にアパレル関係の営業を行っていた頃の私の体験談です。当時の私はセレクトショップの店舗マネジャーとして従事していました。ショップ経営のみの事業展開から卸し売り業に事業を拡大するべく、オリジナルウェアのブランドを立ち上げ全国に販売先を求めて営業を開始しました。希少性が求められるアパレル業界では近隣販売店同士のバッティングは嫌がられます。

その為、卸し先(営業先)の選定には自社ブランドとコンセプトが近い他ブランドの卸し先を徹底的に調査し、各都道府県あたり2店舗を上限に営業を行い、そのうち1店舗のみの契約とすることを事前の約束事としました。日本全国約100店舗への営業を行い、そのうち約20店舗での取引開始に至る事が出来ました。中には同一県内で2店舗の契約を取れるケースもありましたが事前の公約通り県内1店舗のみの契約となりました。内心、「せっかく取引できそうだったのに、、、」と、泣く泣く諦めた事は言うまでもありません。

全国の店舗と取引を続けるにあたり、やはり大都市と地方都市との販売数の差は大きく、特に東京に関しては東京以外の店舗の取引総数よりも東京都内1店舗の取引数の方が上回っており、都会の経済の回転率の差を実感したことを覚えています(ちなみに筆者は地方都市のショップです)。オリジナルブランドのうまみはなんといっても自社店舗で販売した時の粗利率の良さ。通常での仕入れから販売では約40パーセントの粗利率が自社制作から販売では粗利率が70パーセントとなります。

当時はインターネットを用いた通販には賛否が別れており、とくにブランド側がインターネット販売をしてしまうと卸し先の店舗にとって商売的なうまみが減ってしまう為、判断が難しいところでした。営業担当として複数の店舗の方と出会い経験出来た事は、その後の人生において大きな財産となっています。